五輪の建設現場 労組の国際組織が改善要求の中身[2019/05/16 12:31]

 来年の東京オリンピック・パラリンピックを巡り、関連施設の建設現場の労働環境に問題があるとして労働組合の国際組織が大会組織委員会や東京都などに改善を求めていることが分かりました。

 今年11月の完成を目指して工事が進む新国立競技場。予定の時期が迫るなか、関連施設の建設現場の労働環境に関する報告書が大会組織委員会などに送付されました。その報告書のタイトルは「2020年東京オリンピック“闇の側面”」。衝撃的なタイトルの報告書をまとめたのは、国際建設林業労働組合連盟(BWI)で約130の国・地域の労働組合が加盟する組織です。
 BWIは新国立競技場や選手村の建設現場で働く労働者ら約40人から聞き取り調査を行いました。すると、危険な建設現場の状況を訴える声が上がったといいます。「頭上をコンクリートがプラプラしている状態で怖い」「月に28日間連続で働いている例がある」。こうした報告をもとに、現場の労働状況を「2人の死者」「過重労働」「恐怖の文化」などの言葉が並ぶ不気味なロゴで表しています。
 新国立競技場の工事現場では2017年、現場監督をしていた男性1人が自殺し、労災認定されています。極度の長時間労働による精神疾患が原因だったということです。
 遺族代理人の弁護士:「月の時間外労働が200時間。深夜労働、徹夜労働等の過重労働があり、業務上のストレスが原因で精神障害を発病」
 さらにこの年、違法な時間外労働をさせていた建設業者など81社に対して新宿労働基準監督署が是正勧告を行うなど、違法な労働状況が度々、問題となっていました。
 BWIからの報告書について、組織委員会は「文章の内容を確認しており、対応は今後、検討する」としています。

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