ポルトガル軍人「殺し屋はウイルス」接種8割超に[2021/10/12 23:30]

東京都で12日に確認された新型コロナウイルス感染者数は77人でした。4日連続で二桁の感染者数となりました。重症者は55人。第5波のピーク時に比べ、2割ほどとなっています。

日本では行動緩和に向けた実証実験が進められていますが、世界もコロナ禍からの“出口”を探しています。

韓国では、いまだ警戒レベルは最高の『第4段階』ですが、飲み屋はどこも盛況そのものでした。韓国では一度も、お酒の提供が禁止になったことはありません。日本と数字で単純比較はできませんが「飲酒は感染拡大に影響するかどうかの指標にならない」という考えが一般的です。

その一方で、午後10時になると、店は閉店します。人数制限や営業時間には厳しく、闇営業は容赦なく摘発されます。韓国では、ワクチン接種が進む来月には「制限を緩和し、段階的に日常を回復できる」との見通しが示されています。

ポルトガルの首都リスボン。ヨーロッパ屈指の観光地は多くの人たちでにぎわっていました。ただ、3カ月前はまだ夜間の外出禁止令が出されるなど、別の光景が広がっていました。ポルトガルが、日常を取り戻せたのは85.9%のワクチン完全接種率です。

キーマンは、エ・メロ海軍中将、軍人です。就任当時、エ・メロ中将に課せられたのは、半年間で6000万回の接種です。どうやってこの数字をクリアしたのでしょうか。
“ワクチン接種統括”エ・メロ海軍中将:「工場と同じように、1人の看護師が投与できる回数を考えた結果、1時間で15回という目標値を設定しました。まずは800人を対象に接種を行い、その結果をもとに全国へ接種を展開したのです」

当時、国内のワクチン懐疑派は、国民の40%に及んでいたといいます。8月には、デモ隊が接種会場で待ち構えていたことがありましたが、メロ海軍中将は、裏口からではなく正面から堂々と出入りしました。この行動が大きな称賛を浴びました。
“ワクチン接種統括”エ・メロ海軍中将:「『人殺しはウイルスの方だ』とデモ隊に反論しました。国民に『いいですか。これは戦争です。私は軍服を着ています。私たちは戦争をしている。我々ポルトガル人とウイルスの戦争だ』と伝え続けました」

メロ中将は軍人人生の半分を潜水艦乗りとして過ごしてきました。今回、ワクチンの統括を軍が任されたことについて、このように考えています
“ワクチン接種統括”エ・メロ海軍中将:「政治とは無縁の人間、健全な国家では通常、信用される軍人を充てれば、接種計画に良い印象を与えることができます。(Q.潜水艦と“コロナ・タスクフォース”の共通点は?)どちらも問題を回避する計画が必要ですが、即興はだめです。潜水艦での場当たりな行動は命取りです。タスクフォースでも一緒で『万事うまくいく。問題が起きたら考える』では、こういった複雑な問題で通用しません」

ポルトガルでは今、10代や在外居住者への接種が行われていて、まもなく3回目のブースター接種が始まります。

ポルトガルと同じく完全接種率が80%を超えているシンガポールでは、検査体制が先月、さらに強化されました。街の至る所に簡易検査所が増設され、企業には従業員の週1回の検査が義務付けられました。シンガポール政府は、規制は緩和しても、検査体制はしばらくこのままにするようです。
シンガポール在住フリーアナウンサー・眞方富美子さん:「まずはワクチン接種、そして徹底検査。この2つが、ウィズコロナを進めるうえで欠かせないものと、シンガポールは位置付け、キットを用いて、自ら検査して予防していく。これからニューノーマルになっていくのかなと」

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