細野氏“野党→無所属”で構図激変 衆院選静岡5区[2021/10/22 23:30]

投開票まであと9日となった衆議院選挙。静岡5区では、野党として当選を重ねてきた無所属・前職、細野豪志候補(50)が、自民党入りを目指して無所属での出馬となったことで、構図ががらっと変わりました。それぞれが抱える絶対に負けられない事情に迫ります。

民主党政権では、大臣として原発事故の対応にあたった細野候補。選挙となれば、以前は応援に全国を飛び回る日々でしたが、今回ばかりは地元に張り付いています。

細野豪志候補:「非常に厳しい選挙です。負けたら、私はその時点で政治生命終わります」

前回の衆院選では、希望の党の立ち上げに参加したものの、結果は惨敗。その後、党は解散し、無所属となった末に頼ったのは、自民党の当時の幹事長・二階氏でした。現在、二階派“特別会員”という立場です。自民党候補に圧勝し、自民入りを目指します。

有権者からは批判の声も上がりました。

有権者:「全部裏切られたじゃないですか」
細野豪志候補:「共産党は自衛隊を認めていない…」
有権者:「共産党の話じゃないんです。あなたの人間性を言っているんです」
細野豪志候補:「安全保障で共産党と組むのは、私はどうしてもできないんです」

批判は、覚悟のうえだといいます。

細野豪志候補:「安全保障だけは現実主義を貫きたい。それをやらなければ、政治家を続ける資格はないと思って野党を離れた。一方で、内政は弱き者の立場に立ちます」

一方、我こそが自民党の公認候補と強調するのが自民党・前職、吉川赳候補(39)です。

吉川赳候補:「私ははっきりと今回、自民党の代表として、地域の代表として、自公政権の継続なのか、もしくは立憲・共産政権を認めるのか、こういった側面も訴えていきたい。これから我々が求めるのは、大企業だけの成長じゃない。東京中央の成長じゃない。地方の成長なんです」

これまでの選挙では、細野氏に大差で3連敗中です。前回は、比例復活もできませんでした。おととし、繰り上げ当選したものの、細野氏を派閥に受け入れた二階氏は、こうけん制しました。

自民党・二階幹事長(当時):「我々は選挙に勝たなきゃ、しょうがないんだよ。何の役にも立たないやつは代えようと思ってるんだよ、みんな。気を付けてくださいよ」

しかし、その二階氏は幹事長を外れ、総裁となったのが所属する派閥のトップである岸田氏でした。吉川氏は、岸田総裁の誕生を追い風に議席獲得を狙います。

吉川赳候補:「岸田政権で目指すビジョン、そして、私が携わってきた地域の発展、ここで判断をして頂きたい」

地元の自民党関係者は細野氏についてこう話しています。

自民党静岡県連・鈴木澄美広報委員長:「自分のやりたいことを実現するために、今までいた党を切り捨てて、自民党に行きたいということが、私の立場からすると非常に分かりにくい話ですよね。そういう政治家って本当に信用できるのかな」

保守系の前職2人の間に割って入ろうというのが、立憲民主党・新人、小野範和候補(48)です。

小野範和候補:「銀行で働いていました。いわば資本主義のど真ん中で、資本主義のあり方の限界を実感してきた。放っておけば、格差はどんどん拡大するばかり。非正規雇用が拡大して、安定雇用が壊されていく。こんなことではいけない」

母親は、選挙区にある伊豆の国市で市長を務めた小野登志子氏です。

小野候補の母・小野登志子氏:「おとなしいところが玉にきずでしたが、この苦しい選挙戦を通して、大変力強く、たくましくなってきたことは良かったなと」

小野氏は、自民党入りを図る細野氏への批判票を取り込む姿勢です。

小野範和候補:「(細野氏を)民主党として支持していたけど裏切られて、誰も応援できないという人もいるので、そういう人たちをもう一度振り向いてもらえるように、信じられる政治を作っていくことが大事」

政治団体『愛地球党』・新人、千田光候補(43)は、分かりやすい税制度への改革などを訴えています。

千田光候補:「国民の皆様が不安に陥っているコロナ、これをまず解決したい」

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